GW連休も終わり平常モードに戻りました。
JR春日井駅前も通勤や通学の人がぐっと増えました。
コロナウイルス感染症のため一部地域で緊急事態宣言も発令されており、人の数はこれでも控え気味なのでしょう。
さて、初診で受診された方をみていますと。
お仕事をお持ちの方で、仕事にまつわる心理ストレスのため、調子を崩している方を何人もみます。
初診のときに、症状が重く、就労継続が不能の状態である方が非常に多いのです。
そのために、初診の日に「○○の症状のため就労不能」「休職して治療に専念するべき」との診断書を作成発行せねばなりません。
「もっと早い段階で受診していただいていれば・・・。」と残念でなりません。
早い段階であれば、症状もより軽く。より早い治療の開始によって、症状のさらなる悪化も防ぐことができたかもしれません。
そうすれば当然、仕事を休むことも防げたかもしれないでしょう。
しかし、何故、初診の日に病気休職の判断を受けるような、このような事態になってしまうのか。
それは、心療内科・精神科のクリニックが働く人たちに身近に感じられていないから、なのではないでしょうか。
医学医療の世界に「スポーツ医学」という専門領域があります。
特にスポーツ競技をしていてケガの対処や、故障の予防。
さらには、より良い成績をだすための身体能力の強化などを取り扱う領域です。
働く人の世界、特に知的労働や頭脳労働の人たちの世界にも、スポーツ医学と同様のメンタルヘルスの取り組みが必要だと私は考えています。
頭脳労働による心理的ストレスの軽減。
働く人たちの人間関係による困りごとへの対処。
健やかなメンタル状態の維持・向上による、より良い業務パフォーマンスの追求。
スポーツの世界、特にプロ競技やオリンピック競技のようなトップアスリートの世界には、スポーツ医学の知見や専門家が活用されているのに。
プロ職業人の世界、特に頭脳労働者の世界に、なぜ心療内科・精神科の知見や専門家が活用されないのか。
重いうつ状態、重い不眠状態、になってようやく初めて、しぶしぶメンタルクリニックを受診するというのが今の実態です。
このような状態が今の日本の平均的状態なのだと感じています。
より良い業務パフォーマンスを追求するために、自分のメンタルの健康を維持・向上されるべき。
そういった意識の改革が必要なのではないでしょうか。
そうすれば、日頃はセルフケアや、会社の産業医やカウンセラーとの相談も活用することもできますし。
軽微であっても不調の兆しを感じれば、早期受診や早期治療につなげることもできるでしょう。
職業人、就労者、として、自分のこころの健康状態をより良く保つ。より良い状態へ向上させる。
そういった意識へ変えていくことが社会全体としても必要なのではないかと思います。
クリニックの診察医としても、そうしたメンタルヘルス管理の一助になれるよう努めて参りたいと考えています。